こんにちは、アメリカでドラムを叩いております田中領です。
今回はアメリカで生活するプロミュージシャンの仕事事情をお話ししたいと思います。
音楽の仕事といってもその種類は多岐にわたるので、
今回はローカルギグと呼ばれる、いってしまえば一番稼げない種類の仕事
(失礼w でも事実。うまく回さないとという意味です←というフォロー)をご紹介します。
これらはいわゆるメジャーな音楽業界の仕事ではなく、
『街のイベントで生演奏の需要がある機会』といった感じの仕事です。
逆にいうとこの系統の仕事は日本ではなかなか見ないので、『へ〜』とでもと思っていただけたら嬉しいです。
ちなみに記載した報酬金額はあくまで僕の経験からくる参考でして、
どの現場も状況はまちまちなので実際と乖離がある場合は大いにあります。
カバーバンド
読んで字のごとくヒット曲を演奏するバンドです。
これは比較的日本でもある形態でハコバンと呼ばれているものです。
基本はバーなどでお酒を飲むお客さんを盛り上げる役です。
ただ日本の場合はお店の専属なことが多いのに対して、
(ハコバンのハコは箱のことで演奏するお店やライブハウスを指す業界用語です)
アメリカはお店側が毎日違うバンドでローテーションを組んでいることが多いです。
そのローテーションに入れれば月に1~4回くらい順番が回ってくるので、
いくつもの店を掛け持ちして毎週末どこかで演奏するバンドなんかが多いです。
基本的にバンドリーダーがお店に営業して仕事を取ってきて、メンバーを雇って演奏する感じです。
なのでリーダーが一番取り分が大きいです。大体リーダーが$200~$300でメンバーが$100~$150くらいでしょうか。
NYやLAなどの大都市にはあまりなく、地方都市や郊外でよくあるイメージで、
僕もボストンに住んでいた時によくやっていました。
教会
これは日本だとそんなに数は多くないかもしれません。
通称チャーチギグと呼ばれるもので日曜日の礼拝の際に演奏します。
教会によって予算にかなり開きがあるので、ゴージャスなところに入れればそこそこお金になります。
拘束時間もまちまちで1,2時間演奏の時だけいればいい場合や、
牧師さんの説教の間ずっといなきゃいけない場合もあります。
金額でいうと$50~$400くらいでしょうか。これもリーダーの方が稼げます。
現場の雰囲気もライトなとこから、かなりディープでガチなとこまであるので、
日本で育った自分にとっては信者の方がトランス状態になったりと、
かなりカルチャーショックが強烈な時もありました。
正直僕自身宗教に対して興味はありますが信仰というものを持っていないので、
本気でやっている人たちに小遣い稼ぎで混ざるのは申し訳ない気がして、
あんまり積極的にはやっていませんでした。
ちなみにここ近年爆発的に増えたゴスペルチョップと呼ばれる、
超人的な速さと音圧で叩きまくるドラムスタイルはここから生まれました。
彼らは数人集まるとノンストップで5時間も6時間も叩きまくるので、
ほんとただ息をするかのような感覚であの超絶技を繰り出してるんだなあと思わず感心してしまいます。
結婚式
これは日本にはほとんどない形態かもしれません。
日本でも教会の式の時は音大生の人がオルガンを弾くバイトをしたりもしますが、
アメリカの場合はバンドが入って披露宴的なパーティを盛り上げることが多いです。
とはいってもその時々で新郎新婦の意向も、演奏場所も、メンバー編成も違ったりするので、
一概にこんなスタイルの演奏!ということは出来にくい感じです。
お祝い事なので支払いも太っ腹。リーダーでなくても$300~$500くらいもらえたりするので、
ローカルギグを狙うミュージシャンはみんなこれを取りたがります。
また、ミュージシャンを登録させてバンドを作って派遣する会社なんかもあったりして、
独自の業界として成り立っている感もあります。
パーティバンド
前述の結婚式のバンドと似ていますが、プライベートなイベントで演奏するバンドです。
これも主催者によって予算がかなり違うので超セレブのパーティに潜り込めた場合はそこそこもらえます。
僕が昔やった例では、バルミツワーというユダヤ教の元服みたいな儀式にパーカッショングループで参加したのですが、
元服する男の子の為にその子のお父さんが、
ニューヨークのリンカーンセンターというミッドタウンの超豪華会場を貸し切って、
バンドから、DJから、大道芸人に、ダンサー、コンパニオン、手品師などなどありとあらゆる芸人を雇い、
お客さんは1000人以上、ファッションブランドが自社商品を配布して、
ゴージャスな料理とお酒で祝うというパーティもありました。
かと思ったら一般家庭の裏庭でのバーベキューパーティの片隅で演奏するなんてこともあります。
教会と同じで、なんだか知らない世界を垣間見れたりするのが面白かったりもします。
ミュージカル
ミュージカルというとブロードウェイの立派なやつを想像するかもしれませんが、
ここで話すのはもっと規模の小さい学生劇団や、子供劇団のものです。
これも日本ではあまり馴染みがないかもですが、アメリカはとにかく生演奏を大事にする文化なのか、
子供劇団などの発表会の際には大抵バンドが雇われます。この場合演目は有名なブロードウェイミュージカルをそのままやることが多いです。
ただし本来オーケストラの楽曲をドラムベースピアノの3人でやったりするので、かなり無理がある場合も多いです(笑)。
他にはインディーの劇作家が自費開催する場合などはギターやピアノなどで一人で全てこなすことも多いです。
(僕はドラマーなので一人でやったことはないですが。。
でもバードマンという映画ではアントニオ・サンチェスというドラマーが、
サウンドトラックを全編一人でやっていました。マジですごいです☆☆)
基本子供劇団もインディー劇作家も予算がないので、ギャラはかなり安いことが多いです。
3回公演で『$250リハ代込み』みたいな。しょっぱいですね(笑)。
マーチングバンド
こちらは結構特殊な感じかもしれません。
アメリカでは祝日などに車道を封鎖してマーチングパレードを行うことがちょくちょくあります。
雇い主は消防団であることが多く、街の各エリアの◯◯町一丁目消防団みたいなところがそれぞれ雇うので、
ミュージシャンの総数はかなりの数必要になります。
ただこれもミュージシャンをまとめるリーダーがいて手慣れたもんなので、
早めに終わったミュージシャンがスタート地点に戻って違う組で演奏することもよくあります。
そうすると2倍稼げるので運がいいと実働30分くらいで$200~$300くらい稼げたりします。
僕はリーダーはしたことはないですが、きっとその数倍はもらってるかと思います。
クルーズシップ
これは僕はやったことがないです。
世界をめぐる豪華客船に乗って演奏する仕事です。
これをやる人はずっとこの仕事に専念しているイメージです。
というのも一度旅に出ると数ヶ月間出ずっぱりだったりするので、
地元のミュージシャンとのつながりが薄くなり、帰ってきた時に仕事がない。
レッスンやってても生徒が離れてしまう、なのでまたクルーズに出る、
そしてまた帰ってきたら仕事ない。というループにはまるそうです。
ただまあ食いっぱぐれることはないので、楽しめる人にとっては天職かもしれません。
考えようによっちゃ給料もらいながら世界旅行ができるので。
その他
ここまで書いたようにアメリカは日本に比べると生演奏に触れる機会が多いので、
こんなのわざわざ生でやるの?という仕事に出会えたりもします。
例えば、僕がやったわけではないのですが、
クリスマスの時期にコンプレーションCDをショッピングセンターの吹き抜け会場で売る時に、
売り子さんの横でバイオリンを弾くとか、
僕がやったやつでいえば、
野球の試合の時にスタジアムの前の道路で球団に雇われて路上ライブとか、
幼稚園の野外授業で数ブロック先の公園へ遠足に行くのにマーチングドラムで先導とか。
日本にいた頃は想像もしなかったような現場が結構あったりします。
まとめ
このようにいわゆる音楽業界とは違うローカルギグだけでも様々な種類があり、
基本的なギャラは安いものの、高単価なものを取っていけばそこそこ暮らせるので、
それを生業にするミュージシャンというのは結構います。
もし興味がある方は一度この世界に入ってみるのもいい経験かもしれません。
ただし学生ビザの期間にやると完全に違法なのでその点はご注意ください。
というわけで、僕のブログ、YouTube、twitterでは、
皆様が楽しめるような情報を届けられるように心がけていきますので。
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